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【新規開業】飲食店経営のプロ・こうせい校長が伝授!成功の鍵は「TTP!?」門外不出のノウハウ一挙公開

飲食店の独立開業には不安がいっぱいです。成功できるか否かは、開業前の準備で大きく左右されます。では具体的には、開業前にどのようなことをすればいいか、私の体験を交えてアドバイスします。
こうせい校長:
1985年長崎県生まれ。18歳で名古屋にて料理修行を開始し、24歳で東京にて独立。飲食店経営者歴14年、料理人歴20年の実績を持つ。最大4店舗を展開し、現在は2店舗を運営。企業コンサルティングや料理技術指導も行う。著書に『プロのコツでいつものごはんが100倍おいしくなるレシピ』。YouTubeチャンネルでは、飲食店開業や経営に関するノウハウを発信中。飲食業界の若手育成に尽力している。

開業に必要なことは「熱量」

飲食店の開業で一番大事なのは「熱量」です。借入をして経営をはじめたならば、長く運営していく必要があります。それなのに日々の運営に熱が入らない状態だと、少しずつ仕事がおろそかになり、途中でいろいろなことを言い訳にして、仕事から逃げてしまうことも多いのです。

私自身を振り返っても、最初は自分が好きで飲食店を経営していたはずなのに、店舗を多数展開している人たちへの憧れから、多店舗展開することが自分の「夢」だったかのように勘違いしてしまったことがあります。すると、毎日の仕事に忙殺され、「熱量」の源にある「わくわく感」が無くなっていくのです。「熱量」を失ってしまうと、全てが辛くなっていきます。

私の仲間たちの中にも、「熱量」を失ってしまい、せっかく努力して開業したお店を閉店してしまった人が多くいます。

幸いなことに、私自身は2018年にYouTubeに出会って、新しい形での情報発信と飲食店経営の融合に取り組むことで、「熱量」を取り戻すことができました。
飲食店を開業するなら、興味があって精通している得意分野をおすすめします。まずは持続可能な熱量が保てる分野を探すことから始めましょう。本当にわくわくできるものを探すことから始めること。その後、市場調査したりSNSで発信したりしてファンを増やし、開業と同時にファンを店に呼び込むようにしていきます。

ただ、熱量は途中で切れても、問題はありません。次に気になることがあれば私のように切り替えていけばいいのです。常に自分の心に敏感になり正直であってほしいと思います。

大げさな目標やビジョンはなくても良い

私が開業したのは24歳でした。最初からすごいビジョンを持っていたわけではなく「この地域一の繁盛店を作って、人で魅了していきたい」とだけ考えていました。開業前に明確なビジョンを持つことは大事ですが「社会貢献」「地域貢献」といった崇高な目標を立てる必要はないと思います。むしろそうしたキレイな言葉をまだ何者でもない人がビジョンに掲げると、誰の目標か分からなくなり、熱量が減っていきます。目の前のことをやるのが精いっぱいの開業時には、目標やビジョンを掲げるよりも熱量を大事にしてほしいのです。

極端な話、開業時の目標は「めっちゃモテたい」でいいと思います。かっこいいビジョンは要りません。自分の中から湧き上がってくるエネルギー源はどこか、ということを探すことが大事。そのうえで「こういう料理を作りたい」「こういう店を作っていきたい」「『ありがとう』と地域で一番言われる店を作ろう」など、何でもいいのですが、具体的な目標を立てていくと良いと思います。

スモールスタートなら、専門的なマーケット調査は不要

私が開業したときはまだ若く、コネクションも何もない状態だったので、一通りビジネス書を読み、人にも会いに行きました。そうした本を読んだ上で思うことですが、全国展開を視野に入れて開業するなら「市場調査」や「ターゲット市場の特定」、「競合分析の方法」も必要ですが、小さな一店舗から始めるなら「マーケット調査」はあまり意味がないと思っています。実際、ほとんどの人がスモールスタート。もちろん常識的なことは踏まえながら、自分は何が好きかを考え、その好きなものに集中的に熱量を注ぎ込むのが良いと思います。

ただ、こうした私の言うことを鵜呑みにして、「熱量さえあればビジネス書を読まなくてもいい」と思い込むのもおすすめしません。経営でも技術でも何でも、勉強することが大前提です。今、私はYouTubeの所属事務所と一緒に物販の戦略を立てていますが、そのためにGoogleトレンドを読んだり、現地調査をしたり、Amazonのレビューを参考に分析したりしています。根底で大事にするのは「熱量」ですが、同時に勉強もしていくことが大事です。

たとえば、今、バスクチーズケーキをECサイトで販売しており、おかげ様で好評です。これは細かく市場調査をした結果、売り出した商品。バスクチーズケーキは流行りものと思われがちですが、私は良いものはスタンダードになると思っており、チーズケーキのカテゴリーで定着したと判断しました。売り出すまでには、うちと同じような立場のECサイトで成功している企業があるのかなど、いろいろな角度から調査しています。
ではどんな業態が良いのでしょうか? それはタピオカのように一気に上がって一気に下がるものではなく、ずっとなだらかに右肩上がりで成長しているもの。たとえば焼き魚です。昔からあるものですが、少子高齢化で訪日外国人が増えている今の日本では、2004年ぐらいからGoogleトレンドを見るとずっと右肩上がりで成長しています。そういった業態は廃れないのです。

初めてのマーケット調査は競合店の「食べ歩き」がベスト!

飲食業の場合、競合調査は現地視察をすること。つまり、食べ歩きです。Googleや食べログのお客様の評価を参考にした上で、自ら足を運んでとにかく食べに行きまくるのがいいでしょう。飲食店の良い点は、繁盛店も隠すことができない点。一般企業では会社の内部まで視察することはなかなかできませんが、飲食業は細部まで見ることができるのです。オープンキッチンの場合には調理法まで見ることができます。店舗展開している場合には、店舗数が増えたり行列ができたりすると、そこは隠しようがない繁盛店です。

立地や業態、雰囲気、内装、厨房の配置、メニューやオーダーの取り方、ファーストドリンクのスピードなどを細かくチェックします。繁盛店にたくさん行くことで、傾向が見えてきます。私は、ネット検索で入手できる国の統計なども参考にしていますが、一番役に立つのはSNSのチェックと食べ歩き。繁盛店に来る顧客は何を注文するか、どんな雰囲気の服装の人が多いかなど、いろいろチェックしています。それから、外に出て出入りする人数や属性を数えました。

ここで質問です。これから新規開業を目指す皆さんは、競合店のどこを重視していますか?
私が特に重視するのは「トイレ」です。なぜなら、店舗全体の清潔さと経営姿勢を端的に表すからです。お客様が直接利用する場所であり、かつ従業員の目が届きにくい場所であるトイレの状態は、店舗の細部への気配りを示しています。清潔で使いやすいトイレは、料理や接客と同様に顧客満足度に直結します。また、トイレの設備や内装のグレードは、店舗の投資余力や顧客層の想定を反映していることが多く、競合店の経営戦略を読み解く重要な手がかりとなるのです。

成功するためには、どういう業態や立地条件だと良いのか、こういう人数でこういうオペレーションでやっているといったように、成功している店舗の傾向を分析した上で、対策を立てることが重要です。

私が新規開業する方に必ず伝えている言葉があります。「TTP(ティーティーピー)」というのですが、何の略だと思いますか?

「徹底的にパクれ」をもじって「TTP」なんです。繁盛店の良いところはどんどん吸収して参考にしていくべき。「こうした笑顔の接客をしたら印象がよくなる」「こういう盛り付け方をしたら響くんだな」といった参考にできるヒントを多く得られます。常に頭の中で「TTP!」を意識しながら、こうした視察は、開業前はもちろん、開業した後も継続してやりましょう。

ちなみに、繁盛店から参考にするポイントで「味」は優先順位として低いです。美味しいのに潰れる店という話を聞きますが、優先順位をはき違えた料理人が経営すると潰れるのです。

ただし、現地調査の際には、ひとつ気を付けてもらいたいことがあります。

おそらく、どんな飲食店でも、同業者が視察に来るとすぐにスタッフに気付かれます。ふつうのお客さんとは、明らかに挙動が違うので、隠そうとしてもバレてしまいます。そこで、私は様子をみた上で、店主の方に、「繁盛していると聞いたので、勉強させてもらいに来ました」と伝えることもあります。私も経営するようになって思うのですが、競合店とはいえ同業の仲間でもあるので、素直な方は支えたいものです。

繁盛店の定義はプロ中のプロになること。それはプロが食べに来る店です。同業者が視察に来ることが繁盛の証です。同業者が来たとき、喜んでもてなせないのはむしろもったいないと私は思いますね。


開店する近隣の店にも出向きます。それには、視察というよりネットワークや人脈作りという意味合いが強いです。実際に店長さんと飲み仲間になって地域のリアルな話を聞けるなど、参考になることも多いものです。また、商店街の会長に挨拶に行くのも重要です。

独立開業時の物件探しは「家賃が安い」・「路面店」がオススメ!

物件探しに関しては、自分がどういう特性を持っているかというのが大事です。まだ資金力がなく、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源のいずれも持っていない、自分のやる気だけで戦っていかないといけないときに、ロケーションの良い高い家賃のところを選んでしまうとコストがかかります。そして、その業態がうまくいかないとすぐにキャッシュアウトしてつぶれてしまいます。

独立開業するなら、家賃が安めなローカル駅で、ただし1日の乗降客数が5万人以上を選ぶこと。駅から5~10分以内で、目立つところなら空中階でも良いですが、路面店が良いでしょう。外看板を掲げられるところならさらにいいですね。
店の広さは業態によりますが、床面積は小さくても問題ありません。初期投資を節約するなら居抜き物件がねらい目です。居抜きの場合でも、配管の位置や定期借家かどうか、大家さんのことなど、チェック項目は山ほどあります。さらに前の借主がなぜ撤退したのかは聞いておいたほうが良いポイントです。立地や業態が良いのに潰れた理由が分かりやすい場合には、そこさえクリアにすれば勝てるからです。

備品調達はコスパ+材質を重視

開業時に調達する備品は、一番は使い慣れたものをそろえること。前の職場で使っていたものなら手になじんで扱いやすいからです。そういうものがないなら、YouTubeなどの動画を参考にすると良いと思います。材質の特性を詳しく説明してくれる動画もあります。

そして、コストパフォーマンスが良いものを選ぶことが前提ですが、それプラス材質の耐食性、耐腐食性、耐熱性は必須です。そこをおろそかにすると短いサイクルで買い替えることになり、かえってコスパが悪くなるからです。
欲しいと思っている備品のレビューがSNSやYouTubeなどの動画サイトにあるかもしれないので、一度検索してみると失敗するリスクを減らせます。

消耗品の供給体制を構築するための仕入れ先、取引先に関しても、すでに関係があるところがあれば良いですが、新規開業の場合には仕入れ先の構築もゼロからです。そういう意味でも安くて品質の良い商品がそろっている、アズキッチンさんのような飲食業に特化していて、安定供給が可能なECサイトは本当にありがたいですね。

軌道に乗り始めたら「POSシステム」で顧客ニーズを把握しよう

顧客ニーズを知るためには開業時からPOSシステムを導入しましょう。POSシステムのデータからどの層が多く来店したか、男女比率はどうか、どんな料理やドリンクが多く出たかなど、ABC分析を細かくします。そして、その分析結果をメニューやサービスに生かしています。 私が開業した当時は、POSレジはとても高価でなかなか導入できなかったので、伝票一枚一枚を見て自力で分析をしていました。今では、安価で導入できるタブレット型のPOSレジが多数出ており、分析もかなり楽になりました。 経営者は忙しいですが顧客ニーズの分析はやるべきです。というのも、感覚は大事ですが、数字に関して感覚はあまりあてにならないからです。実際に分析してみると「こんな商品が出ていたんだ」という発見があります。
たとえば、生ビールが出ていると思っていたのにウーロンハイの方が多かったなんてこともあります。分析結果からウーロンハイのコスト削減する仕入れ方法をするなどの工夫をすれば、利益率がよくなります。

まとめ

開業前にやることは多いですが、飲食店経営で一番大切なのは自分の「熱量」です。わくわくするものでないと続かないからです。熱量に従って何をやりたいかを決めたら、実際に競合店に出向いてたくさん視察することで、経営に向けての傾向と対策が立てられます。そして、身の丈にあったコスパ重視の物件探しや備品調達をすることが、続けていく上でも重要になるのです。

こうせい校長の監修記事