カテゴリ

    HOME >飲食店に水質検査は必要?検査内容や事業所でできる簡易水質検査も紹介!

 

飲食店に水質検査は必要?
検査内容や事業所でできる
簡易水質検査も紹介!

飲食店営業には欠かせない「水」。
一見きれいに見える水でも、目に見えない菌が原因で食中毒が起きる可能性があります。
飲食店開業には水質検査が必須の場合もあり、開業以降も定期的に検査をしなければなりません。
本記事では、飲食店を営業する際に必要な水質検査について紹介いたします。
開業後も飲食店や工場などの事業所でできる簡易水質検査についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

蛇口から水が出ている様子

1.開業前の水質検査

飲食店を開業する際には、飲食店営業許可申請が必ず必要ですが、その申請をするために「水質検査成績書」を提出しなければならない場合があります。
飲食店で使用する水は、食品衛生法で定められた基準をクリアした「食品製造用水」を使用するよう定められているからです。
食品製造用水の基準に満たないと、製造過程の衛生面にどれだけ気を配っていても、安全な食品を提供できなくなってしまいます。
ただし、開業前の水質検査が必要な場合と不要な場合があります。
それぞれの場合について、詳しく見ていきましょう。

■水質検査が必要な場合

食品製造の過程で使用する水が水道水以外の場合は、飲食店営業許可申請の際に水質検査が必要です。
水道局の管理下にないので、食品製造用水の基準を満たしているのか判断できないからです。

検査対象は、以下の2つの場合です。
・貯水槽使用水(タンク水)を使用している
・井戸水を使用している

特に、高層ビルなどで飲食店を営業する場合は、貯水槽を使用するケースが多いため、確認が必要です。
これらの場合は、事業所が責任をもって検査し「水質検査成績書」を提出しなければなりません。
「水質検査成績書」とは、飲食店で使用する水が適正な水質であるかを検査した結果のことです。
飲食店の営業許可申請をする際に保健所などへ提出する必要があります。

■水質検査が不要な場合


水道から供給される水(直結給水方式)を使用する場合、検査は不要です。
戸建て住宅や低層ビルなどで営業をする場合は、一般的に水道水を使用するため検査の必要はありません。
ただし、水道メーターから蛇口にかけての配管やご自身で設置された浄水器といった給水装置は、事業所による維持管理が求められます。
装置の不備による水質悪化に注意が必要なので、定期的に水質検査をするなど、衛生管理を徹底しておきましょう。

食材を水で洗う様子

2.どんな検査をしなければならないのか

ここでは、飲食店開業前に必要な水質検査について詳しく紹介します。
前述した通り、貯水槽使用水(タンク水)や井戸水を飲食店で使用する場合は飲食店営業許可申請の際に「水質検査成績書」を提出しなければなりません。
開業前の水質検査は、公的検査機関や厚生労働大臣の指定検査機関等へ依頼しましょう。
1年以上前の報告書は受理されないので、いつ検査を受けるかにも注意が必要です。
保健所などへの水質検査成績書の提出は一度のみですが、安全で衛生的な食品をお客様にご提供するためにも、開業以降も定期的に水質検査をしましょう。
それでは、貯水槽使用水(タンク水)と井戸水のそれぞれの水質検査の検査項目などについてご紹介します。

■貯水槽使用水(タンク水)の場合

貯水槽使用水(タンク水)を使用する場合、以下の26項目について検査が必要です。

  • 1.一般細菌:100以下(CFU/mL)
  • 2.大腸菌群:検出されないこと
  • 3.カドミウム:0.01mg/L以下 
  • 4.水銀:0.0005mg/L以下 
  • 5.鉛:0.1mg/L以下 
  • 6.ヒ素:0.05mg/L以下 
  • 7.六価クロム:0.05mg/L以下 
  • 8.シアン(シアンイオン及び塩化シアン) :0.01mg/L以下
  • 9.硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 :10mg/L以下 
  • 10.フッ素:0.8mg/L以下
  • 11.有機リン:0.1mg/L以下 
  • 12.亜鉛:1.0mg/L以下
  • 13.鉄:0.3mg/L以下 
  • 14.銅:1.0mg/L以下
  • 15.マンガン:0.3mg/L以下
  • 16.塩素イオン:200mg/L以下
  • 17.硬度(カルシウム、マグネシウム等):300mg/L以下
  • 18.蒸発残留物:500mg/L以下
  • 19.陰イオン界面活性剤:0.5mg/L以下
  • 20.フェノール類:0.005mg/L以下
  • 21.有機物等(過マンガン酸カリウム消費量):10mg/L以下
  • 22.pH値:5.8以上8.6以下
  • 23.味:異常でないこと
  • 24.臭気:異常でないこと
  • 25.色度:5度以下
  • 26.濁度:2度以下


これらの水質検査は、百貨店や学校、ホテルなどの多くの人が利用する建物(特定建築物)を対象に年1回の実施が義務付けられています。
また、貯水槽使用水(タンク水)の場合、水質検査だけでなく貯水槽の管理も必要です。
貯水槽に入るまでの水は水道局の管理下になりますが、貯水槽に入った後は事業所の管理下になるからです。
10立方メートルを超える貯水槽の場合、毎年1回以上貯水槽の清掃を実施しなければなりません。
「建築物環境衛生管理事業登録事業者名簿」に記載されている業者に清掃を依頼するのが良いでしょう。
水質検査に加え、貯水槽の清掃を定期的に行うことが、食品衛生管理において重要です。

■井戸水の場合


井戸水を使用する場合、最大51項目~最低11項目の検査が必要になり、必須項目は自治体ごとにより異なります。
新規開業の場合は以下の51項目について検査をしておくといいでしょう。

  • 1.一般細菌:100以下(CFU/mL)
  • 2.大腸菌:検出されないこと
  • 3.カドミウム及びその化合物:0.003mg/L以下
  • 4.水銀及びその化合物:0.0005mg/L以下
  • 5.セレン及びその化合物:0.01mg/L以下
  • 6.鉛及びその化合物:0.01mg/L以下
  • 7.ヒ素及びその化合物:0.01mg/L以下
  • 8.六価クロム化合物:0.02mg/L以下
  • 9.亜硝酸態窒素:0.04mg/L以下
  • 10.シアン化物イオン及び塩化シアン:0.01mg/L以下
  • 11.硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素:10mg/L以下
  • 12.フッ素及びその化合物:0.8mg/L以下
  • 13.ホウ素及びその化合物:1.0mg/L以下
  • 14.四塩化炭素:0.002mg/L以下
  • 15.1,4-ジオキサン:0.05mg/L以下
  • 16.シス-1,2-ジクロロエチレン及びトランス-1,2ジクロロエチレン:0.04mg/L以下
  • 17.ジクロロメタン:0.02mg/L以下
  • 18.テトラクロロエチレン:0.01mg/L以下
  • 19.トリクロロエチレン:0.01mg/L以下
  • 20.ベンゼン:0.01mg/L以下
  • 21.塩素酸:0.6mg/L以下
  • 22.クロロ酢酸:0.02mg/L以下
  • 23.クロロホルム:0.06mg/L以下
  • 24.ジクロロ酢酸:0.03mg/L以下
  • 25.ジブロモクロロメタン:0.1mg/L以下
  • 26.臭素酸:0.01mg/L以下
  • 27.総トリハロメタン:0.1mg/L以下
  • 28.トリクロロ酢酸:0.03mg/L以下
  • 29.プロモジクロロメタン:0.03mg/L以下
  • 30.ブロモホルム:0.09mg/L以下
  • 31.ホルムアルデヒド:0.08mg/L以下
  • 32.亜鉛及びその化合物:1.0mg/L以下
  • 33.アルミニウム及びその化合物:0.2mg/L以下
  • 34.鉄及びその化合物:0.3mg/L以下
  • 35.銅及びその化合物:1.0mg/L以下
  • 36.ナトリウム及びその化合物:200mg/L以下
  • 37.マンガン及びその化合物:0.05mg/L以下
  • 38.塩化物イオン:200mg/L以下
  • 39.カルシウム、マグネシウム等(硬度):300mg/L以下
  • 40.蒸発残留物:500mg/L以下
  • 41.陰イオン界面活性剤:0.2mg/L以下
  • 42.ジェオスミン:0.00001mg/L以下
  • 43.2-メチルイソボルネオール:0.00001mg/L以下
  • 44.非イオン界面活性剤:0.02mg/L以下
  • 45.フェノール類:0.005mg/L以下
  • 46.有機物(全有機炭素(TOC)の量):3mg/L以下
  • 47.pH値:5.8以上8.6以下
  • 48.味:異常でないこと
  • 49.臭気:異常でないこと
  • 50.色度:5度以下
  • 51.濁度:2度以下
※検査項目は自治体により異なる場合がございますので、詳細は事前に施設の所在地を管轄する保健所にお問い合わせください


飲食店開業時の水質検査や定期的な検査で問題がなかったとしても、災害後に井戸水を使用する場合は、水質が変化していないか、食品製造の稼働前に必ず検査をしましょう。
井戸水は災害によって、井戸水が枯れたり水質が変わったりすることがあるからです。
その場合、水質検査を実施し、井戸水の水質に問題がないか確認する必要があります。
井戸水を使用する際は、災害や季節の移り変わり等によっても水質が変化することを念頭に置き、都度検査を行いましょう。

検査のイメージ図

3.飲食店や工場でもできる簡易水質検査

ここでは、飲食店や工場でもできる簡易水質検査について紹介します。
毎日、各事業所で水質検査を行いましょう。
検査機関に依頼した水質検査以降、食品製造用水の水質が変化する可能性があるからです。
ここでは、3つの簡易水質検査を紹介いたします。

■官能検査

官能検査とは、視覚や味覚など人の五感を使用して、食品製造用水に異常なにごりや臭い、味がないかを確認する検査です。
複数名で実施するのが基本で、3人以上で行うことが推奨されています。
訓練された経験豊富な人が実施したり、明確な評価基準を設定したりしましょう。

【官能検査の手順】
①水を蛇口から30秒間ほど出しっぱなしにする
②透明なコップに水を採る
③にごりやにおい、色、味に異常がないか検査し、記録する。

それぞれの項目を毎日チェックし記録することで、異常や変化に気づきやすくなり、問題が発生したときに早めの対応が可能です。

■水質検査試験紙、試薬セットなどによる測定

色の変化によって物質の量をおおまかに測定できる試薬が塗布された紙で、専門的な知識がなくても簡単・手軽に測定が可能です。

【試験紙の場合の測定手順】
①試験紙を水に浸す
②一定時間反応させる
※反応時間などは商品により異なりますので、説明書を確認ください。
③比色表などを用いて判定を行う。

あくまで大まかな測定になるので、基準値内だとしても定期的に外部検査などをすることをお勧めします。

■測定機器を用いた検査(パックテストなど)

パックテストとは、食品製造用水の水質を簡単に測れる水質測定器のことです。
pHテストや大腸菌テストなどの種類があり、迅速で便利な方法として多くの事業所で利用されています。

【パックテストの手順】
①手を洗いきれいな状態で扱う
②清潔な容器に水を採る
③試薬に水を入れる
④指定された時間待つ
⑤色の変化や他の反応を確認し、結果を記録する

検査の多くは、5分未満で結果が出るため手軽に測定できます。
必要な検査項目や精度に応じて製品を選び、メーカーの指示に従って使用しましょう。
きれいな飲料水のイメージ図

4.まとめ

飲食店を開業するには、貯水槽使用水(タンク水)や井戸水を使用している場合、水質検査をしなければなりません。
また、水質の異常に早く気づくために、開業以降も毎日の検査が重要です。
アズキッチンでは水質検査に使えるものを多数取り扱っています。
日常的な水質検査にも役立つアイテムが揃っているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

きれいな水を使って料理をしてるイメージ図