ホテルパンとは？

ホテルパンとは、ホテルやレストランの調理に広く使われている調理器具です。
ホテルパン、フードパン、ガストロノームパンと呼ばれており、語尾の『パン』は英語の『pan』で底が平らな鍋を意味します。
主な用途は加熱調理ですが、それ以外にも、バイキングのディスプレイやサラダバーのトッピング容器ショーケースでのアイスクリーム販売など様々な場面で使われています。

ホテルパン・ガストロノームパンは、縦×横の基準となるサイズを「1/1」と呼称し1/2、1/4など複数サイズに展開しています。


さらに、各サイズに対して深さ20mmから200mmまで細かく設定し、規格化しています。


※サイズによって、規格がない深さもあります。

ホテルパンの材質には主にステンレスとアルミが使われています。

・ステンレス
ステンレスは鉄にクロムとニッケルを配合して、耐食性や加工性を向上させた金属です。
耐食性、耐熱性、対衝撃性に優れ丈夫で壊れにくいため、家庭用から業務用まで広く普及しています。
特に業務用厨房では錆びにくく、汚れに強い『SUS304ステンレス（18-8）』が材料に使用されることが多いです。

・アルミ
ステンレスの約15倍の熱伝導率を誇るため、熱が素早く均一に伝わり、焼物調理に優れています。
熱をよく伝えるということは、逆に急速に冷えるという特徴もあり、フリーザーなどでの急速冷凍にも適しています。
また、アルミは比重が鉄の1/3のため軽量ですが、鉄やステンレスに比べるとやわらかい材質のため、高熱や衝撃で変形しやすいです。

大量調理に使用されるスチコン（スチームコンベクションオーブン）を使用したスチコン調理では、ホテルパンがフライパンや鍋の代わりになります。 スチコンはドイツで開発され、ホテルパンの規格サイズ(2/1、1/1、2/3、1/2)に合わせて設計されています。 温風と水蒸気による『焼く』『蒸す』『煮る』『炊く』『揚げる』『炒める』『茹でる』『温める』などの加熱調理が可能です。 熱源は『ガス』『電気』の２種類があり、食数、厨房のサイズに応じてスチコンも様々な種類があります。
食数、席数、使用用途、設置場所の規模に対応した様々な種類がありますので、ここでは代表的な3種類を紹介します。


①スタンダードタイプ…一般的なタイプです。
②小型卓上タイプ…限られたスペースでも設置可能な小型タイプです。
③カートインタイプ…専用カート付の大量調理タイプです。

先ほどスチコン調理ではホテルパンがフライパンや鍋の代わりになりますと説明しましたが、
調理に応じたホテルパンを使用することがスチコン調理のポイントになります。
ここでは、深さ別にホテルパンの一般的な使い方についてご紹介していきます。

●深さ20・25㎜…『焼物』『炊飯・煮物時の蓋』『汁受』

●深さ40㎜…『焼物』『炊飯・煮物時の蓋』『汁受』

●深さ65㎜…『焼物』『炊飯・煮物時の蓋』『汁受』

●深さ100㎜…『煮物』『汁物』

●穴あき：深さ65㎜…『蒸物』『炊飯（赤飯、おこわなど）』

●蓋…調理時の結露防止、炊飯時の乾燥防止に使用します。

【ポイント】
20・25mmのホテルパンは食材の温度や庫内熱風のあたり方などが原因でゆがみが発生しやすいです。
歪んだホテルパンは冷めれば元に戻ります。
歪み対策としては、ホテルパンに敷アミやクッキングシートを乗せて調理することで歪みは軽減されます。
深さ40ｍｍ以上のホテルパンは歪みが少ないです。

ホテルパンはスチコン調理にとても大事なものです。
ここまでに紹介したホテルパン以外にもたくさん種類がありますのでそれらをうまく使いこなすことができれば、スチコン調理はより良いものになっていくでしょう。
料理に合わせて適切なホテルパンを選び、ホテルパンを上手に活用しましょう！

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