カテゴリ

    HOME > フッ素加工のフライパンは危険?PFOA規制と、PFOAフリーの意味を解説。フッ素加工とセラミック加工の比較、メリットデメリットもご紹介。

 

フッ素加工のフライパンは危険?
PFOA規制と、PFOAフリーの意味を解説。
フッ素加工とセラミック加工の比較、
メリットデメリットもご紹介。

フライパンや鍋などの調理器具の説明書きに「PFOAフリー」という言葉を見たことがあるでしょうか?
PFOAフリーとの記載があっても、ではPFOAとは何なのか、フリーとはどういう意味なのか、
これらの説明は詳しく書かれていないことがほとんどです。

食材の安全性にこだわるのと同じように、調理器具の安全性にもこだわりたいですよね。
特に、食材と直接接するフライパンや鍋の安全性は重要です。本コンテンツでは、フッ素加工とは何か、
フッ素加工は安全なのか、どういった場合に危険となりうるのか、PFOAの危険性とその規制の歴史、PFOAフリーの言葉の意味、フライパンや鍋のフッ素加工とセラミック加工の比較(メリット・デメリット)について、詳しく解説します。

1.そもそもフライパンや鍋などの
調理器具のフッ素加工とは?

フッ素加工とは、フッ素樹脂でコーティングをすることです
フライパンや鍋は、鉄やセラミックなどの素地の表面に、何かを塗って(コーティングして)作られることが多いです。フッ素樹脂を塗ったものはフッ素加工、セラミックを塗ったものはセラミック加工と呼ばれます。

名前に「フッ素」という言葉がなくても、フッ素加工かもしれません
まず、よく聞く「テフロン」というのは、あるメーカーが開発したフッ素樹脂のブランド名です。したがって、テフロン加工もフッ素加工の一種です。
また、最近のフライパンや鍋でよくみられるダイヤモンドコートも、フッ素樹脂にダイヤモンド粒子を混ぜたものなので、フッ素加工の一種です。
同様に、マーブルコートもハードコートも、フッ素加工の一種です。このように、コーティングの名前に「フッ素」となくても、説明書きを見るとフッ素加工だったということがあります。
フライパンの画像

2.フッ素加工フライパンや鍋は危険?
有害物質が出るって本当?

正しく使っていれば人体に危険はないとされています
フライパンや鍋などの調理器具に使用される最も一般的なフッ素樹脂はPTFE(呼び名はアルファベットそのままで「ピーティーエフイー」)です。PTFEは有機フッ素化合物の一種で、正式名称はポリテトラフルオロエチレンです。

発がん性は?
PTFEは、発がん性をはじめとする毒性も調べられており、国際がん研究機関は「ヒトに対する発がん性について分類できない」としています。ほかの機関でも発がん性や生殖毒性等は指摘されていません。

食べてしまったら?
フライパンや鍋などの調理器具からはがれたPTFEを食べてしまったとしても、吸収されず排出されるとされています。とはいえ積極的に食べたいものでもありませんよね。

有毒物質がでるって本当?
PTFEは、315~375℃以上に加熱すると、有害物質の蒸気(ヒュームと呼ばれる加熱生成物)が発生する可能性があり、このガスを吸い込むとインフルエンザのような症状が出ると報告されています。
したがって、フライパンや鍋などの調理器具を空焚きで加熱し続けることのないよう注意が必要です。
危険を表す画像

3.PFOAフリーのPFOAとは?
危険だから規制されたって本当?

フライパンに関しては、「PFOAフリー」という言葉も聞きますね。
この章では、まずPFOAとは何かを説明します。

PFOAとは、かつてフッ素樹脂を作るために使われていた化合物です
PFOAも、PTFEと同じく有機フッ素化合物の一種です。呼び名はアルファベットそのままで「ピーエフオーエー」、あるいは「ピーフォア」と呼ばれます。
正式名称はペルフルオロオクタン酸です。かつては、フッ素樹脂を製造する際の助剤としてPFOAが使用されていました。

PFOAは健康への影響が報告されました
動物実験で、肝臓の機能や仔動物の体重減少等に影響を及ぼすことが指摘されました。人に関しては、コレステロール値の上昇、発がん、免疫系等との関連が報告されています。

PFOAは世界的に規制され、現在はフッ素樹脂にPFOAは使われていません
PFOAは健康への影響に加えて、環境への影響も指摘されました。そして、2000年代中頃からPFOAを廃絶する世界的な動きが広がりました。

2006年:アメリカの環境保護庁が「PFOA自主削減プログラム」を発表。フッ素化学品メーカーに対して、2015年までにPFOAの全廃を求め、世界の大手フッ素化学品メーカー8社(日本のダイキン工業、旭硝子〔現AGC〕を含む)がこれに参画しました。
日本フッ素樹脂工業会によると、メーカーは2015年までに対応を完了し、フッ素樹脂にPFOAは使用されなくなりました。
2019年:「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs 条約)」という国際的な条約により、PFOAが廃絶物質に指定されました。
2021年:日本でも、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」に基づきPFOAの製造・ 輸入等が原則禁止となりました。

4.PFOAフリーという言葉の意味とは?

改めて「PFOAフリー」とはどういう意味でしょうか?

「フリー」は、「ゼロ」というより「ほとんどゼロ」
PFOAフリーと聞くと、「PFOAがゼロ」を意味すると考えがちですが、正確には「上限を超えていない」という意味です。
通常この上限は非常に低濃度に設定されているので、「ほとんどゼロ」とイメージすればよいでしょう。

フッ素加工フライパンの「PFOAフリー」とは?
3章で述べた通り、2015年までにフッ素樹脂の製造時にPFOAは使われなくなりました。
したがって、現在はPFOAを使わずに製造されたフッ素樹脂をコーティングしています。

しかし、フッ素樹脂の製造時には、作ろうと思った化合物以外の化合物ができる(副生成物といいます)ことがあります。したがって、この場合の「PFOAフリー」とは、「製造時にPFOAを使っていない」とか「PFOAがほとんどゼロ」という意味合いです。

フッ素加工以外のフライパン(無加工フライパン、セラミック加工フライパン)の「PFOAフリー」とは?
フライパンは、フッ素加工だけではありません。無加工もありますし、セラミックをコーティングしたセラミック加工もあります。
有機フッ素化合物自体を使っていないので、消費者としては、こちらの方が「PFOAフリー」のイメージに近いかもしれませんね。

フリー

5.フッ素加工フライパンや鍋とセラミック加工フライパンや鍋の
違い・メリット・デメリットを比較

この章ではフライパンや鍋のセラミック加工とフッ素加工の違いについて説明します。

セラミック加工のメリット;安心&美味しい
空焚きで高温になった場合でも、有毒ガスの心配はありません(ただし、空焚きによりセラミックコーティングは劣化します)。
また、熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が高いため、食材に素早く熱を伝えることができます。
例えば、野菜炒めは素早く高温で調理しないと、食材の水分が出てべちゃっとしてしまいますよね。セラミック加工プライパンなら短時間でおいしく調理できます。
またセラミックは高温で遠赤外線を発する性質があるため、食材にムラなく均等に熱が伝わります。
例えば肉や魚を焼くと、表面パリッと、中はふんわりと仕上げることができます。

セラミック加工のデメリット;フッ素加工と比較するとくっつきやすい
あくまでフッ素樹脂加工と比較するとですが、料理がくっつきやすいです。

フッ素加工(テフロン加工)のメリット;食材がくっつきにくい
食材がくっつきにくいので、調理の失敗が少なく、汚れを落とすのも簡単です。

フッ素加工(テフロン加工)のデメリット;空焚きに注意
2章で述べた通り、350℃程度の高温になった場合に有毒ガスが発生する恐れがあります。

セラミック加工とフッ素加工(テフロン加工)の共通のデメリット
どちらもフライパンや鍋をコーティングによって、素地(鉄・アルミ・ステンレス)にはなかった性能を発揮しているので、コーティングが剥がれないよう注意が必要です。
具体的には、空焚きをしない、急激な温度変化を避ける(洗うのは冷めてから)、金属製のヘラ・タワシを使わない、などの注意が必要です。

メリットデメリットの画像

6.まとめ

フライパンや鍋のフッ素加工の危険性、世界的なPFOA規制の歴史、「PFOAフリー」の意味、フッ素加工とテフロン加工の比較について解説しました。
フッ素加工フライパンや鍋は、正しく使えば危険はなく、食材がくっつかない、とても便利な調理器具です。
しかし、うっかり空焚きしてしまうことは、だれしもあるのではないでしょうか?
さらに、かつてフッ素樹脂の製造に使われていたPFOAは、健康への影響が指摘され、世界的に規制されました。
その影響で、有機フッ素化合物自体を使わないセラミック加工フライパンへの注目が集まっています。

アズキッチンでもセラミックフライパンなどを取り扱っております。ぜひご覧ください。

セラミックフライパンはこちら⇒
フライパンの画像