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食品衛生法とは?
事業者が抑えるべきルールや
ポイントをご紹介!

飲食に関わる事業者であれば必ず知っておきたい「食品衛生法」。
2018年には法改正が行われたものの、どのような変更点や追加点があるのか気になる方は多いでしょう。

本記事では、食品衛生について、概要から法改正までご紹介します。
HACCPの制度化や事業者が抑えるべき食品衛生法のポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

食品衛生法とは?~概要、目的~

「食品衛生責任者」とは、食品関係施設において製造・調理・販売等が衛生的に行われるように管理運営を行う人のことです。
「食品衛生法」により、営業者は飲食店を開業する際に「食品衛生責任者」を設置することが義務付けられています。
営業者自身が食品衛生責任者になるか、常駐している従業員のうちから食品衛生責任者を1人選任しなければなりません。
飲食店を営業する際、防ぐべきことの一つは「食中毒」です。
万が一食中毒を起こしてしまったら、営業停止になることも。そうならないために、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。

食品事業者が抑えるべき食品衛生法のポイント

食品事業者が抑えるべきポイントは、以下の7点です。

● 食品事業者の責務
● 食品添加物にまつわるルール
● 器具や容器の包装にまつわるルール
● 表示にまつわるルール
● 営業にまつわるルール
● 監視指導のルール
● 食品添加物公定書

では、順番に解説します。

食品事業者の責務

食品を取り扱う事業者は食品衛生法によって定められたルールを守らなければいけません。万が一違反してしまうと、営業許可を取り消されたり営業命令など行政処分が行われたりする可能性もあります。

また違反内容によっては罰則なども定められているため、衛生管理には注意しましょう。

食品事業者の責務

食品を取り扱う事業者は食品衛生法によって定められたルールを守らなければいけません。万が一違反してしまうと、営業許可を取り消されたり営業命令など行政処分が行われたりする可能性もあります。

また違反内容によっては罰則なども定められているため、衛生管理には注意しましょう。

食品添加物にまつわるルール

食品衛生法5条では、「販売」に使われる食材や添加物の加工、使用をする際は清潔で衛生的な環境下で行うといった基本的なルールが提示されています。

また6条では禁止されているルールについてもまとめられており、腐敗したものや有毒物、病原微生物に汚染されているものや異物混入しているものが挙げられています。それらのものは販売だけでなく、加工や調理、貯蔵も禁止です。

器具や容器の包装にまつわるルール

食品を取り扱う際、使う器具や容器包装は常に清潔で衛生的でなければいけません。容器が剥き出しのままで放置されていると、知らない間に埃や虫といった異物が混入してしまう可能性もあります。

器具や容器包装にまつわるルールも食品添加物同様、不衛生なものの販売や輸入は禁止されているので注意しましょう。

表示にまつわるルール

食品の表示にまつわるルールは食品表示法によって、まとめられています。また食品衛生法の20条では食品表示や広告に関するルールを設けており、具体的な内容としては食品や容器などの広告などに対して、公衆衛生に危害を及ぼす可能性のある虚偽や誇大表示、宣伝は禁止です。

営業にまつわるルール

食品衛生法9章では営業者が飲食店などの営業をする際に守るべきルールが定められています。食品衛生法の12条では厚生労働大臣の認める添加物の製造や、衛生の考慮を必要とする加工食品などの製造や加工を行う場合、その施設ごとに専任の「食品衛生管理者」が必要です。

監視指導のルール

監視指導とは、食中毒を起こさないために製造から販売まで、各工程の中に監視が入ることです。食品衛生法6章の24条で定められており、管理指導計画に基づき実施されるのが特徴です。

監視指導は学校や児童福祉施設、大規模飲食店などさまざまな場所で立ち入り検査や、食品を採取し検査する収去検査などが行われます。また指導のほかにも適正な食品表示を行うためや、違反しないように輸入食品などに関する講習会なども実施しています。

食品添加物公定書の収載について

食品添加物公定書とは、添加物内に含まれる成分規格や製造・使用・表示の基準、品質保証の方法について定めたもので、厚生労働大臣によって定められました。

食品衛生法12条に基づき作られていますが、品質管理技術や製造方法は技術の進化により、年々向上しています。そのため、およそ5年ごとに改訂され続けています。

用語について

食品衛生法では以下の単語に関して、明確な定義が定められています。ここでは、よく使われる単語の定義や条文について解説します。

食品

「全ての飲食物」のこと。ただし医薬品や医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬品及び再生医療等製品はこれを含みません。(食品衛生法4条1項)

・食品事業者

食品若しくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、若しくは販売すること若しくは器具若しくは容器包装を製造し、輸入し、若しくは販売することを営む人若しくは法人又は学校、病院その他の施設において継続的に不特定若しくは多数の者に食品を供与する人若しくは法人。(食品衛生法3条1項)

添加物

「食品の製造の過程においてまたは食品の加工もしくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」のこと。(食品衛生法4条2項)

食品衛生

食品、添加物、器具及び容器包装を対象とする飲食に関する衛生のこと。(食品衛生法4条6項)

営業者

営業を営む人又は法人のこと。(食品衛生法4条7項)

容器包装

食品又は添加物を入れ、又は包んでいる物で、食品又は添加物を授受する場合そのまま引き渡すもののこと。(食品衛生法4条5項)

登録検査機関

第33条第1項の規定により厚生労働大臣の登録を受けた法人のこと。(食品衛生法4条9項)

法改正について

2018年に改正された食品衛生法ですが、どのような変更点やポイントがあるのでしょうか。チェックしておきたいポイントは以下の7点です。

● ①広域にわたる食中毒対策を強化(2019)
● ②HACCPの制度化(2020)
● ③健康被害情報の届出のを義務化(2020)
● ④食品用の器具や容器包装のポジティブリストの導入(2020)
● ⑤輸出入食品の安全証明について(2020)
● ⑥営業許可制度の見直しや営業届出制度の追加(2021)
● ⑦食品などのリコールにおける行政報告の義務化(2021)

では、順番に解説します。

広域にわたる食中毒対策を強化

広範囲にわたる食中毒の発生や拡大を防ぐため、食品衛生法に基づき全国各地に「広域連携協議会」を設置します。そして、国と関係自治体が情報を共有し、原因の調査や食中毒に対する適切な情報を発信するなどを行います。

HACCPの制度化

法改正により、食品事業者はHACCPに関する衛生管理の実施が必要です。「HACCPに基づく衛生管理」または「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」のどちらかを実施し、一般的な衛生管理を元に作成された手引書を参考に衛生管理を行います。
厚生労働省のホームページに各業種別に手引書の例が掲載されていますので、自分の業種と近しいものを探し参考にしてみてください。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書

健康被害情報の届出を義務化

指定成分等含有食品を取り扱う業者は、その食品について新たに得た情報を保健所が設置されている市の市長や、都道府県の知事に届出を提出する必要があります。

届出には「症状の重篤度に関わらず指定成分等含有食品が原因の健康被害」または「健康被害を起こす可能性のある研究報告」などが対象です。食品衛生法第8条に記載されている特別の注意を必要とする成分やものとしては、以下の4つが指定されています。

● コレウス・フォルスコリー
● ドオウレン
● プエラリア・ミリフィカ
● ブラックコホシュ

上記以外にも健康被害を起こす可能性が懸念される食品については、情報を得てから30日以内に届出を出すことが必要です。

食品用の器具や容器包装のポジティブリストの導入

ポジティブリストとは、使用を認める物質のリストのことです。このリストを作成し、使用を認めている物質以外は使用を禁止するという規制の仕組みとなっています。

ポジティブリストの対象は、食品衛生法施行令1条に合成樹脂と定められています。そのため合成樹脂を使った器具や容器包装、ほかの物質を使用しているものの食品が触れる部分は合成樹脂でできているものなどが対象です。

輸出入食品の安全証明について

輸出入された食品の安全を確保するための改正。HACCPに基づく衛生管理や乳製品、またフグおよび牡蠣は衛生証明書の添付なしでは輸入できなくなっています。

さらに輸入できる国に関してもHACCPに基づく衛生管理が講じられている国もしくは地域の施設で製造し、加工された食肉でなければいけません。

営業許可制度の見直しや営業届出制度の追加

法改正では、食品衛生法の要許可が必要な業種も変更されています。主な変更点としては、届出が不要な業種の指定が増えたり、今では上記のいずれにも該当しない全般と大まかな括りとなったりしていました。

しかし法改正後は、食品または添加物の輸入業や運搬のみを行う営業、器具や容器の輸入または販売に関しては届出が必要となります。

食品などのリコールにおける行政報告の義務化

令和3年6月1日から食品リコールについての行政報告は義務化されています。報告の対象となるのは食品衛生法違反または違反の恐れがあるもの、食品表示違反となっているものです。事業者はこれらの違反物を見つけた場合には、自主回収に着手しなければいけません。

その後は最寄りの保健所へ届出を提出し、保健所が消費者庁へと報告します。報告を受けた消費者庁によってリコールの一元管理が行われ、消費者へと公表されます。

その他関連法令

食に関する法律は、食品衛生法だけでなく食品安全基本法や、食品表示法などさまざまな種類があります。ここでは、それぞれの法律についても解説します。

食品安全基本法

食品安全基本法は、食品安全を確保するために国や自治体、事業者で総合的施策の実施を行い情報提供の責務を定めている法律です。内閣府内の7人の食品安全委員会で構成されており、食品のリスク管理に基づき農林水産省など各省へと勧告しています。

食品表示法

食品表示法は食品の表示すべき内容に関するルールをわかりやすくまとめたものです。主な内容としては原材料や賞味・消費期限、アレルゲンや栄養成分表示などほかにもさまざまな必要事項を具体的に定めています。

健康増進法

健康増進法は2002年に公布され、国民の健康増進の向上を図る医療制度改革の一環として作られた法律です。健康増進法では、以下の4つを規定しています。

1. 国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本方針の策定
2. 都道府県、市町村における健康増進計画の策定
3. 健康診断の実施等に関する指針の策定
4. 国民健康・栄養調査の実施、保健指導、特定給食施設、受動喫煙の防止等

食品衛生法に違反したら・・

食品衛生法に違反した場合、個人事業の場合は最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課され、法人の場合は1億円以下の罰金が請求されます。

また、罰金だけでなくお店のイメージも下がってしまい大切な顧客を失ったり、信用が落ちてしまったりと大きなダメージを受ける可能性もあります。そのため事業者は食中毒を起こさないよう、しっかりと衛生的な調理を心がけるのが大切です。

まとめ

食品衛生法は食品を扱う事業者にとって非常に重要な法律となっています。法改正が行われ、内容の変更や追加点も多いのでしっかりとチェックし、違反しないよう心がけるようにしましょう。